お屠蘇は漢方薬です-身体と心に効く漢方知識1

薬剤師は臨床が命--身体と心に効く漢方知識1--

「お屠蘇は漢方薬です」

正月は、「お屠蘇気分で・・」とテレビなどでも、言葉として出て来るのですが、"お屠蘇"自体を知らない方が増えているそうです。
実際に、薬局で年末に「屠蘇散」を差し上げても、「何するものですか?・・・」と質問される若い方が増えている様に感じます。

 別に、知らなくても困らないのですが、「屠蘇散は漢方薬」だということを、漢方に興味の有る方は知っておいて欲しいのです。
屠蘇散の中身は、多くの同名異方(名前が同じでも、中身の組成が違う)がありますが、概ね白朮・桔梗・山椒・防風・肉桂・大黄が入っています。
発表剤と理気薬です。つまり風邪薬です。otoso.jpg

 日本最古の医学書である「醫心方」にも屠蘇散は書かれています
昔の漢方は皇室や一部の金持ちの"ためだけ"の当時の最新の医学でした。
(醫心方も読んでみると皇族のために書かれた医学書です。興味のある方は、解説書も出ていますから、読んでみると楽しいです)
恐らく、皇室は、急性期のカゼとは別に、流行病の予防を願って一年の最初に屠蘇散を飲む習慣が有り、それが庶民に広まったのだと推測します。
元旦の朝に屠蘇を飲んでも、一年間の外感病を予防するのは難しいでしょうが、あの味と臭いで皇室の気分を味わえることは間違いないです。