葛根湯はカゼ薬なのか-身体と心に効く漢方知識2

薬剤師は臨床が命--身体と心に効く漢方知識2--

「葛根湯はカゼ薬なのか?」

葛根湯は、落語に登場するほど有名な漢方薬です。
日本では、弁証もせずに"カゼを引いたら葛根湯を飲む"という図式になっています。
 漢方薬を西洋医学の知識で使う弊害が葛根湯にも現れています。

 漢方の本場である中国の中医薬学大学の教科書の中で、処方を集めた"方剤学"の教科書を見ると葛根湯という名前は出てきません。

でも"古典"という科目で、「傷寒論」という書物の中に葛根湯という文字は見つかります。つまり、中国では古典的な処方となっている訳です。
中医学のお医者さんは、六年間の大学教育で中医(漢方)を中心に勉強をします。そして中医学大学病院に救急車で運ばれて来ても、中医(漢方)を中心に処置するほどに、中医学には自信を持っていますし、実績もあります。
その様な国で、葛根湯は臨床では使われていないのです。古典の薬になっているのです
kakkon.jpgこれらは、中国での例ですが、日本でも後世方派と言われる素晴らしい理論を持った学派が存在しているのですから、この辺の事情を頑張って啓蒙してもらいたいものです。

 中医学(漢方)は、日々進歩しています。
また、昔の人と今の人の体力や抵抗力は、大きく変わっています。当然それらに対応して、使われる薬も進歩し、工夫をされています。

漢方の理論を勉強し始めると外感病と内傷病という漢方の独特の考え方を叩き込まれます。

この理論だけで、数冊の本になるくらいです。